野生のインコを見た日
私に会うために日本から飛行機でやってきたひとが昨日飛行機で帰っていった。
そこまでしてくれるなら、ってことで長めの休みを取るためにめちゃくちゃ働いた。
リハもやりスタジオギグもやった。
急激に季節が変わってゆく匂いがして、それをゆっくり感じ取る余裕もないまま駆け抜けたら、
そのひとが到着してすぐに高熱を出してベッドから動けなくなった。
そのひとがロンドンに滞在している期間の半分を使ってどうにか復活したんだけど、
40.0℃と体温計が示したのを見た時は、うっかり本気で自分に絶望しかけてしまった。
”期限”というものがわかりやすくくっついてくる人生を選んだ。
それは期間限定の、「ビザが終わるまで」というだけに過ぎないものかと思ってしまいそうになるんだけど
本当はそうじゃない。
「日本とイギリス、帰りの飛行機までの限られた時間、限られた人との場合」ならわかりやすいけど、
本当はそうじゃない。
今まで見たこともないような広い広い広い公園が家から30分強の所にあった。
連れて行ってくれたそのひとと、嘘みたいになにもなくて見たこともないような形のでっかい木の見えるよく晴れた丘に座って
これからの人生をどこで過ごしたいか、ということについて話した。
私は「日本」と答えた。
1、安全だから。2、今の所イギリスに残る強い理由が存在しないから。3、言葉を自由に操れないと人と心が交換できないから。という理由を説明した
でっかい木の周りを、不自然なくらいに緑色のインコがでっかい鳴き声で鳴きまくりながら群れをなして飛んでいた
どこかの家から脱走して増えたんだろう。東京でも見られると聞いたことがある。
「頑張ってね。」と最後に言ってするりと空港のゲートの向こうに行ってしまったそのひとを見送ってからものすごい孤独感と戦っている
また一人になってしまった。と恐怖に包まれる波がかなりの頻度でやってくる
でもよく考えるといつだって誰だって一人なんだってことくらいは思い至ることができる
そのくらいには人生重ねてきたらしい
そう考えるとロンドンにいたって東京にいたって変わらないんじゃないか、
言語は何とかカバーできるようになるだろうし
この国の素晴らしいところだってたくさん見えてきた
型にはまらない自由な心を持った素敵な人がヨーロッパにはたくさんいる。
日本で生きる強い理由だって存在しないんじゃないか?って思えてくる。
まぁビザ問題があるのでイギリスに住み続けるのはかなり難しいけど。
また悩みが増えてしまったけど、自分のこの先をきちんと考えるきっかけになったあの美しい丘の景色が人生のハイライトのひとつに足されたことは間違いない。
よく晴れた空に不自然な緑色のインコの群れがぐるぐる。
夢みたいなその記憶がさみしさをぐるぐるかき混ぜてよくわからない感じになってる
よくわからないけど絶対に忘れないようにしよう。
インコがそこまで増えるには2匹出会わなきゃいけないでしょ
それってなんかすごいよな、いいよなぁって。